Borge Mogensen(ボーエ・モーエンセン)はウェグナーやヤコブセン、フィン・ユールと並んで北欧4大巨匠と称される、20世紀を代表する家具デザイナーの一人です。
彼の作品の根底に一貫して流れているのが“庶民の為の家具”。デンマークという小国において国民が豊かに暮らす術として生まれたデンマーク生活協同組合(F.D.B.)の家具部門の責任者に、師であるコーア・クリント直々に指名されたモーエンセンは、組合員の為の「安く・堅牢で・美しい」家具作りという難題をそれまでに培った経験と実直な精神でクリアし、J-39チェアに代表されるミニマルでありながら美しい家具を多く生み出しました。
1950年、36歳の時にその任を離れ独立すると、エアハルト・ラスムッセン、フレデリシア、カール・アンダーソンなど多くのメーカーにてデザインを供給するようになります。主に価格面での厳しい制約から解かれると、彼はより自由なもの作りに没頭する事になります。しかし、「単純で壊れにくく美しい」家具を作るという精神は揺るがず、やはり数々の名作を残す事となりました。#2254ハイバックチェアに見られる、これ以上ない程にシンプルなリクライニング機構は彼ならではのアイディアだと評価され、また#2226スパニッシュチェアにおいて、革を扱う馬具職人が馬車時代の終焉とともに仕事を失う窮状を救済する意味を込めて背と座に一枚革を使用した、という話も、庶民を想う彼故のエピソードだと言えます。
彼は1972年に58歳という若さでこの世を去るのですが、同年であるウェグナーが92歳で逝去するその晩年まで創作活動を続けていた事を思うと、彼が同じくらい生きていたら、どんな作品を残していたのでしょう。
そんな想像が膨らみます。